筋肉痛の中でのプレイ・プロゴルファーの感覚管理術 vol.74

筋肉痛がある状態でのプレーに関して、プロゴルファーの間でも意見は分かれることがあります。筋肉痛自体が固有感覚受容器の感度に影響を与えることはある程度認識されていますが、それがプレーにどのように影響するかは個人差が大きいです。重量を持ち上げているトレーニングシーンは、日本のツアーには殆ど見られませんが、アメリカやLIVツアーなどでは、頻繁に見られる光景です。

固有感覚受容器の鈍化

筋肉痛や疲労が固有感覚に影響を及ぼすメカニズムには、筋肉や関節周辺の受容器が正常に機能しなくなることが含まれます。疲労物質が蓄積されると、これらの受容器の感度が低下し、運動の精度が低下する可能性があります。例えば、激しいトレーニング後の筋肉痛がある場合、筋肉内の微細な損傷や炎症が固有感覚の精度を低下させることが指摘されています。

感覚が良くなるケース

一方で、適度な運動やアクティブなリカバリーが固有感覚を向上させるケースもあります。軽度から中程度の運動は血流を促進し、筋肉や関節の機能を改善することができます。これにより、固有感覚の感度が向上し、運動のコントロールが向上することがあります。例えば、軽いストレッチや低強度のアクティブリカバリーが推奨される理由の一つに、これらが固有感覚の調整を助けるからです。

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総合的な見解

プロゴルファーであれば、体の状態を正確に把握し、適切な判断を下すことが求められます。筋肉痛がある場合には、その日の体調や痛みの程度を考慮してプレーするかどうかを決めることが重要です。勿論試合は避けられませんが、今日の状態を把握しプレーのレベルを決めている選手も少なくありません。また、固有感覚の感度を高めるためのウォームアップやストレッチングの習慣を持つことも、パフォーマンスの維持に寄与しています。

筋肉痛や固有感覚の鈍化に関する具体的な研究はまだ限られていますが、適切な体の管理とトレーニングがパフォーマンスの鍵であることは明らかです。プロゴルファーは、これらの要因を日常的に意識し、最高のパフォーマンスを目指す必要があります。

出典とまとめ

プロゴルファーの中で、筋肉痛があってもプレーができるというのは一般的な話ですが、固有感覚が必ず鈍るかどうかは、その状況によります。固有感覚の変化は様々な要因によって左右されますが、特定の条件下では固有感覚が改善される可能性もあります。

疲労と固有感覚
筋肉疲労がある場合、一時的に固有感覚が低下することがあります。これは、筋肉の疲労が固有感覚受容器の感度に影響を与えるためです。しかし、適切な回復措置や条件下では、固有感覚の感度が改善されることもあります​ (PLOS)​。私の周囲にるプロの中には、トレーニング後に必ずケアを行なっている方もいます。そこまでやれるかどうかは、置かれている環境にもよりますが、人の手で行うよりも、自身でストレッチをして、その日の体の変化を感じ取ることがより高いメリットがあると思います。

振動療法
振動療法は固有感覚の向上に寄与するとされています。特に、定期的な振動療法は、筋肉の回復を促進し、固有感覚の感度を高める効果が報告されています。これは振動が筋肉や関節周辺の血流を改善し、結果的に固有感覚の情報処理を助けるためです​ (MyoVolt)​。当院でも一般の患者様に定期的に行っています。動画を掲載します。

総合的に見ると、プロゴルファーは筋肉痛がある状態でもプレーすることが可能ですが、固有感覚の鈍化を防ぐためには、適切な体のケアと回復措置が重要です。筋肉痛の管理と固有感覚の維持には、振動療法などのテクノロジーを活用することが有効な手段となります。