バネ指とゴルフ 症状管理とプレーを続ける方法 vol.239

 
バネ指(腱鞘炎)を持つゴルファーにとって、ゴルフが可能かどうかは、症状の程度や管理方法に大きく依存します。
バネ指は、指の腱が炎症を起こしている状態で、痛みや指の引っ掛かり、動きの制限が生じることがあります。潤滑油を分泌する鞘=腱鞘が肥厚するケースや、腱そのものが肥大するケースがありますが、この状態でゴルフを続けるためには、以下のような対策や治療法を考慮することが重要かと思います。

注意点

腱鞘なのか、腱なのか、またどこが肥厚・肥大しているかは自分ではなかなか分かりません。
指の引っ掛かり方、伸ばすときにパチンとバネのような症状を呈する方や、一度曲げてしまうと伸ばす時に痛いケース、またはなかなか伸びなくなるケース。私が臨床の中でこれまで2度経験したのは、腱鞘の炎症が視覚的にもわかる強く、ズキズキとした痛みに耐えられそうにない患者様でした。強い炎症により腱と鞘が癒着してしまうと、治療の選択肢が限りなく手術以外なくなると、過去に医師に指導された経験があったので、この時はすぐに専門医への紹介を優先しました(30年の臨床経験で2回)

自身の経験談

実は私も接骨院院長としてバネ指を経験したことがあります。
何年かぶりに再開したゴルフ練習も、治療院のコンペに向けて気合を入れていました。就業後、ほぼ毎日のように練習をしていると、ある日グリップから手を離すときに引っ掛かるようになりました。

指のストレッチをして、練習に支障なく続けることもできますし、ラウンドもできました。ただ朝起きた時は指が固まり、グーを握ったところから開けない、しばらくすると指がほぐれてきて引っ掛かりが弱くなるという経験をしました。

私自身が一般の方より治りにくい環境にあるのは、仕事で手技を使うことではないかとと思っていました。そこへ来て、久々の練習は1日100球以内に抑えていたものの、適度の脱力ができないことで、グリッププレッシャーはより強くなり、悪条件が重なります。

自身で状態管理ができたことや、職場に治療器が揃っていること。できる限りスタッフに頼らずとも前進できる術が有ったことは幸いでしたが、12月のコンペ前には治っていたものの治癒まで約60日かかりました。

バネ指を持つゴルファーのための対策

休息とアイシング

急性の痛みや炎症がある場合は、まず休息を取り、アイシングを行います。これにより、炎症を軽減し、痛みを和らげることができます。
自己判断が難しい方は接骨院や整形外科を受診することをおすすめします。

ストレッチとエクササイズ

指や手のストレッチ、そして特定のエクササイズを行うことで、指の柔軟性を保ち、腱鞘の滑りを良くすることができます。
中にはストレッチのみで、症状が軽減することもあります。

テーピングやサポートブレース

指や手を保護するために、テーピングやサポートブレースを使用することが有効です。これにより、過度な動きを防ぎ、腱鞘への負担を軽減できます。曲げて痛い場合に「テーピングで曲がりにくくする」というのは固定の基本的な考え方になりますが、これによりグリップに影響が出たり、他の指が痛くなるケースもあります。そうした場合、固定法を工夫することもありますが、専門家に早期に相談することをお勧めします。

ゴルフクラブの調整

グリップの太さを変える、クラブの重量を調整するなどして、手や指への負担を軽減することが可能です。
クラブは頻繁に変えられるものではないと思いますが、グリップについては素材や太さを変えることや、下地のテープを二重に巻くことも選択肢の一つであると思います。

正しいスイングの習得

スイングのフォームを改善し、指や手への過度なストレスを避けることが重要です。ゴルフコーチやフィジカルセラピストに相談することをお勧めします。より運動効率的なスイングであることは理想ですが、手先に負担をかけないようにするためには、前腕・肘周り・上腕・肩・肩甲骨周囲の柔軟性を高めることも大切になります。

治療法

率直に…治るまで何もしない人から、ストレッチ・マッサージや物理療法などの保存療法はじめ、ステロイド注射などがあります。場合によっては手術が考慮されることがありますが、最近では腸腰筋(腹部)に高圧な電療を照射することで指先のバネ指の改善する施術などもあり多種多様です。

プロゴルファーの事例

実際に、バネ指を抱えながらもプロとして活躍しているゴルファーもいます。適切な管理と治療を受けながら、ゴルフを続けることができることが示されています。バネ指を持ちながらゴルフを続けるためには、症状を悪化させないよう注意深く管理し、必要に応じて専門家の助言を受けることが重要かと思います。