肩板損傷の理解とその対応:山本由伸投手のケースを通じて vol.249

 
肩板損傷についての解説

2024年6月16日、ドジャースの山本由伸投手が右上腕三頭筋の張りを訴え、試合中に緊急降板したというニュースが報じられました。その後の精密検査で、右肩の腱板損傷も明らかになり、前半戦での復帰は絶望的とのことです。この記事を基に、肩板損傷について詳しく解説いたします。

肩板とは

肩板(ローテーターカフ)は、肩関節を安定させ、上腕骨を正しい位置に保持する役割を果たす筋肉と腱の集合体です。具体的には、次の4つの筋肉とそれぞれの腱から構成されています

  1. 棘上筋(きょくじょうきん):肩を外転させる動作に関与
  2. 棘下筋(きょくかきん):肩を外旋させる動作に関与
  3. 小円筋(しょうえんきん):肩を外旋させる動作に関与
  4. 肩甲下筋(けんこうかきん):肩を内旋させる動作に関与

肩板損傷とは

肩板損傷は、肩板を構成する筋肉や腱が部分的または完全に切れる状態を指します。この損傷は、急性の外傷や長期間にわたる反復的なストレスにより引き起こされます。

主な原因
  • 急性外傷:突然の強い衝撃や転倒により肩に大きな力が加わること。
  • 慢性的なストレス:繰り返しの動作、特に肩を多用するスポーツや作業が原因となります。投手のようなアスリートは特にリスクが高いです。
症状

肩板損傷の症状は以下のようなものがあります

  • 肩の痛み:特に夜間や特定の動作時に増強します。
  • 肩の筋力低下:特に腕を上げたり、物を持ち上げる際に感じます。
  • 関節の可動域の制限:特に外転や外旋の動作が難しくなります。
診断

肩板損傷の診断には、以下の方法が用いられます

  • 臨床評価:医師による問診と視診、触診、そして特定の動作テスト。
  • 画像診断:MRIや超音波検査により、損傷の程度や位置を確認します。
治療

治療法は損傷の程度や患者の活動レベルにより異なります

  1. 保存療法:軽度の損傷の場合、休養、アイシング、物理療法、鎮痛剤などが用いられます。
  2. リハビリテーション:筋力強化や柔軟性向上のためのエクササイズが重要です。
  3. 手術:重度の損傷や保存療法で改善しない場合、手術による修復が必要となることがあります。

山本投手のケース

山本投手の場合、右上腕三頭筋の張りを訴えての降板でしたが、その後の検査で右肩腱板損傷が判明しました。これは、彼のようなプロの投手にとって非常に重要な診断です。ドジャースのロバーツ監督は、山本投手に休養が必要であり、数週間の投球禁止を発表しました。現時点では手術の予定はないとのことですが、回復には慎重な対応が求められます。

まとめ

肩板損傷は、特に投手のようなアスリートにとって重大な問題となります。適切な診断と治療を受けることで、早期の回復と復帰が可能となることが期待されます。山本投手の回復を祈るとともに、このコラムが肩板損傷の理解を深める一助となれば幸いです。