パリ五輪柔道男子66kg級準々決勝から学ぶ脱臼応急処置 vol.311

脱臼は、関節の骨が正しい位置からずれてしまうことで起こる怪我です。特にスポーツにおいては頻繁に発生する可能性があります。パリ五輪柔道男子66kg級準々決勝にて、ヌラリ・エモマリ選手が阿部一二三選手との対戦で左手をつき、肘を脱臼したように見えました。これを機に、脱臼の応急処置について学びましょう。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240728/k10014527321000.html

脱臼の応急処置

1. 怪我を確認する

脱臼が疑われる場合、まず怪我の状況を確認します。脱臼は一般的に激しい痛み、関節の異常な形状、動かせないまたは動かすことが困難、腫れや変色が見られることが特徴です。

2. 動かさない

脱臼した関節を無理に動かすことは避けてください。無理に動かすことで、さらなる損傷を引き起こす可能性があります。

3. 安定化

脱臼した部位を安定させることが重要です。三角巾や包帯を使って固定し、動かないようにします。肘の場合、三角巾で腕を支えると良いでしょう。

4. 冷却

脱臼した部位を冷やすことで、腫れや痛みを軽減することができます。冷却は15-20分間行い、1時間おきに繰り返します。氷嚢や冷却パックをタオルで包んで使用してください。

5. 医療機関への受診

脱臼は専門的な治療が必要なため、速やかに医療機関を受診しましょう。医師が関節を正しい位置に戻し、必要に応じて画像検査を行います。
接骨院・整骨院受診の際は、ケガの応急処置ができない施設もありますので、事前に確認してから受診しましょう。

予防策

1. 柔軟性と筋力の強化

関節周りの筋肉を強化し、柔軟性を高めることで脱臼のリスクを減少させることができます。定期的なストレッチや筋力トレーニングが有効です。

2. 適切なフォームの習得

特にスポーツにおいては、正しいフォームを維持することが重要です。不適切なフォームや動作は脱臼のリスクを高めます。

3. 防具の使用

場合によっては、適切な防具の使用も考慮しましょう。関節を保護するサポーターやテーピングが有効です。

実体験からの教訓

私が柔道整復師の学生の時、柔道の大会で負傷された選手がいました。会場には柔道整復師が多数いたため、同じように肘を脱臼された選手がすぐに処置を受けることができました。負傷後30秒以内に整復操作を終えたシーンを目の当たりにしたことがあります。骨が外れた状態で長時間放置すると、筋肉の緊張が高まり、整復が非常に困難になります。その時、怪我の瞬間を見ていた先生がすぐに駆けつけて整復を完了させたのです。

このような経験を通じて、迅速な対応と適切な処置の重要性を学びました。脱臼は適切な応急処置と治療が行われれば、回復可能な怪我です。特にスポーツ選手にとっては、予防策を講じることで再発を防ぐことが重要です。

注意事項

無理な整復操作を避ける
専門家でない場合、無理に関節を戻そうとしないでください。かえって損傷を悪化させる恐れがあります。専門の医師や柔道整復師に任せましょう。

適切な固定と冷却
脱臼した関節を適切に固定し、冷却を行うことが重要です。ただし、冷やしすぎには注意し、15-20分程度にとどめましょう。

迅速な医療機関への搬送
脱臼は放置せず、速やかに医療機関での治療を受けることが必要です。特に血管や神経が損傷している場合は緊急を要します。

再発防止のためのリハビリ
一度脱臼すると再発しやすくなります。リハビリを通じて関節周りの筋力を強化し、再発を防ぐことが重要です。