疲労とフォームの崩れがもたらすスポーツ障害:野球投手とゴルファーの共通点 vol.323

最近では、野球の投球フォームを指導する施設も増えてきたように思いますが、Fortenbaugh, D., Fleisig, G., & Andrews, J. (2009)の研究によると、野球のピッチングにおけるバイオメカニクスは、怪我のリスクやパフォーマンスに大きな影響を与えることが示されています。この研究では、適切な投球フォームと体の使い方が、怪我のリスクを軽減し、パフォーマンスの向上に寄与することが明らかにされています。

特に、疲労が蓄積した状態での投球は、肘や肩に過剰な負担をかける原因となりやすいとされています。これは、投球フォームが崩れやすくなり、腕や手に頼った動作が増えるためです。少年野球の投手が、疲れた状態で投球することで肘の怪我が増えるのは、このメカニズムに起因しています。適切な休養と投球数の制限を設けることで、こうしたリスクを最小限に抑えることが可能です。

大人のゴルフにおいても、後半になると手打ちになることがよく見られます。これは、疲労によって体の大きな筋肉をうまく使えなくなり、手や腕に頼る形になるためです。この現象も、野球の投手と同様に、体全体を使った正しいフォームを維持するための体力とスタミナの重要性を示しています。

このように、どちらのスポーツでも、疲労がパフォーマンスに与える影響を理解し、適切な対策を講じることが、怪我の予防とパフォーマンスの維持において重要です。

まとめ

コツコツと練習を積み重ねることは日本人の特徴でもありますが、その反面、疲労による怪我のリスクを常に考慮する必要があります。どんなに努力を重ねても、体に無理をさせてしまうと本来のパフォーマンスを発揮することは難しくなり、さらには大きな怪我を招く可能性もあります。持続可能な練習方法を模索し、適切な休養を取り入れることが、長期的な成長と健康を維持する鍵となります。

出典:Fortenbaugh, D., Fleisig, G., & Andrews, J. (2009). Baseball Pitching Biomechanics in Relation to Injury Risk and Performance. Sports Health, 1, 314 – 320. https://doi.org/10.1177/1941738109338546.