青年期の味覚と記憶の結びつき:吉村家と家系ラーメンの脳内メカニズム vol.341

「家系は無理だなー」ってきこえてきそうですが…青年期における食体験は、その後の人生に深い影響を与えることが、神経科学や心理学の研究で明らかにされています。私にとって、高校時代に吉村家で味わった家系ラーメンは、単なる食事を超えた存在であり、嗜好や記憶に強く結びついています。家系はソウルフードだという横浜出身者も多いですが、今日は、家系ラーメンについてコラムに書いてみます。健康を害するのか、健康を増進させるのか?一見健康維持に否定的なラーメンでありますが、少し掘り下げてみます。

https://www.kanaloco.jp/news/economy/article-974644.html

途中下車の旅

途中下車といえば、京急杉田には、カレーバーグと吉村家。高校時代の帰路は、横浜駅経由でJRに乗り換えるのですが、京浜急行で金沢八景から杉田へと向かい、吉村家まで足を運びました。店主の吉村さんが醸し出す、温かさと緊張感が共存する独特の雰囲気は、店内でのラーメン体験を特別なものにしていました。ある日、友人がスープを味わう前に胡椒をかけようとしたとき、吉村さんが「ラーメンの味も分からないくせして調味料なんか使うんじゃねぇ」と厳しく叱ったことは、今でも強く記憶に残っています。この経験は、ラーメンに対する敬意を私たちに教え、その後の食事に対する考え方にも影響を与えました。

横浜駅に移転

しかし、吉村家が移転し、横浜駅で食べることがなくなったことで、あの頃の懐かしさも少しずつ薄れていきました。さらに、一時期は家系ラーメン特有の油っぽさやスープの濃さが重たく感じられ、しばらくの間、家系ラーメンから離れてしまった時期もありました。この時期、ラーメンそのものに対する興味が薄れ、家系の味を楽しむことができなくなっていました。

王道家系列

しかし、最近になって再び美味しい家系ラーメンに出会い、その魅力を感じられるようになりました。千葉から治療院に通うプロゴルファーに紹介された「とらきち家光」は、私にとって新たな家系ラーメンの聖地となり、その一杯が再び私の嗜好に強く刻まれました。とらきち家光のラーメンは、吉村家での体験を思い出させると同時に、新たな満足感を与えてくれ、今では幸せな気持ちで家系ラーメンを楽しむことができています。

神経科学の観点から見ると、このような体験は報酬系のメカニズムが深く関与しているそうです。報酬系は、ドーパミンの分泌を通じて快楽や満足感を記憶に強く刻み、それが嗜好として定着します。一度離れてしまった嗜好が再び蘇るのも、この報酬系の作用が影響しているそうです。

結論として、青年期の食体験は、その後の嗜好形成に大きな影響を与えるそうです。吉村家でのラーメン体験は、私にとって特別な意味を持ち、再び美味しい家系ラーメンに出会えたことで、あの頃の記憶とともに新たな幸福感を味わっています。場所や時期が変わっても、味わいが心に残り続ける限り、ラーメンは私にとって特別な存在であり続けるそうです。

二郎系は苦手

ラーメンならなんでもいいのか…特に最近多い二郎系ラーメンはどこも行列ですが、どうも苦手です。よく言われているラーメン二郎のスープに使われる「白い粉」については、一般的に「化学調味料」(MSG、グルタミン酸ナトリウム)が多く使用されているとされています。MSGは、旨味を引き出すための添加物であり、ラーメンのスープに深い味わいを与えるために使われることが多いそうです。

ラーメン二郎は、その独特な濃厚なスープと強烈な旨味が特徴であり、ファンの間では「中毒性がある」と言われることもあります。この中毒性は、MSGが関与している可能性があります。MSGは、食べ物に強い旨味を付加し、舌に感じる風味を強調する働きがあるため、脳がその味を記憶しやすくなるのです。

ただし、ラーメン二郎の各店舗によってレシピが異なるため、全ての店舗で同じ量や種類の化学調味料が使用されているわけではありません。また、MSGは食品業界で広く使われており、ラーメン二郎に限ったものではないことも理解しておくと良いでしょう。

この「白い粉」が具体的に何であるかについては、店舗や製法によって異なるため、詳細なレシピは公表されていないことが多いですが、MSGを含む化学調味料である可能性が高いとされています。

MSG

MSG(グルタミン酸ナトリウム)に関しては、その過剰摂取が健康に与える影響について多くの議論がありますが、現時点での科学的な研究では、適量の摂取に関しては重大な健康リスクがないとされています。

MSGの摂取と健康への影響

MSGは、自然界にも存在するグルタミン酸というアミノ酸の一種を基にした調味料であり、食物の旨味を強化するために使用されます。これまでに行われた多数の研究や、世界中の食品安全機関(例えば、アメリカ食品医薬品局(FDA)や欧州食品安全機関(EFSA))による評価では、通常の食事で摂取する範囲内でのMSGは安全であるとされています。

過剰摂取に関する懸念

一部の人々がMSGに対して敏感であることが報告されており、これを「中国料理症候群(Chinese Restaurant Syndrome)」とも呼ばれることがあります。症状には、頭痛、発汗、胸の圧迫感、顔のしびれなどが含まれる場合があります。ただし、これらの症状が実際にMSGの摂取に直接関連しているかどうかについては、科学的な証拠は明確ではありません。また、症状が現れるのはごく少数の人々であり、一般的な消費者には問題ないと考えられています。

Insawang, T., Selmi, C., Cha’on, U., Pethlert, S., Yongvanit, P., Areejitranusorn, P., Boonsiri, P., Khampitak, T., Tangrassameeprasert, R., Pinitsoontorn, C., Prasongwattana, V., Gershwin, M., & Hammock, B. (2012). グルタミン酸ナトリウム(MSG)摂取はタイの農村部住民におけるメタボリックシンドロームの有病率と関連している。Nutrition & Metabolism、9、50 – 50。https ://doi.org/10.1186/1743-7075-9-50。

Shimada, A., Cairns, B., Vad, N., Ulriksen, K., Pedersen, A., Svensson, P., & Baad‐Hansen, L. (2013). グルタミン酸ナトリウム(MSG)の反復摂取後の頭痛およびヒト頭蓋周囲筋の機械的感作。頭痛と疼痛のジャーナル、14、2-2。https ://doi.org/10.1186/1129-2377-14-2

最後に

ラーメンという一見健康から離れた食べ物が、私にとっては記憶と幸福を結びつける大切な存在であり、再びその味を求めるのは、脳内に刻まれた青春の記憶と、ラーメンがもたらす心の満足感に他なりません。ラーメンを食べることで感じる幸福は、単に味覚の喜びにとどまらず、過去の体験や情動が絡み合って形作られたものでしょう。

皆さんにも、そんな懐かしい食べ物はありますか? それはどんな記憶と結びつき、どのようにあなたを幸せにしているのでしょうか。