日本女子プロゴルフツアー プロテストの意義とその変遷 vol.345

プロテストの意義とその変遷

今年も7月からLPGAプロテストが始まりました。一次予選の会場は終了し、現在は二次予選に向けた準備期間に入っていますが、選手たちからは「会場がまだ決まらない(18日現在)」や「ヤーテージブックがまだ出来ていない」といった声が聞こえてきます。会場については毎年10日前くらいに決まるとのことですが、練習ラウンドを考慮すると、選手にとって十分な準備期間とは言えないのが現状です。選手たちは最初から希望する会場で練習ラウンドを行っているのでしょうが、現行の制度が2019年に導入され、プロテストの合格がツアー予選会エントリーの条件となってしまった以上、新たな選手の流入はプロテストを通じてしか叶いません。人生をかけて挑んでいる選手たちにとって、このテストが持つ重みを考えると、もう少し迅速な対応があれば、選手の精神的負担も軽減できるのではないかと感じます。そんな親御心のような気持ちで、再びLPGAプロテストの意義について考察してみたいと思います。

https://www.lpga.or.jp/page/qualify/

プロテストはハイスコアな争い

近年のプロテストでは、どの会場でもハイスコアの争いが繰り広げられており、これにより選手たちのレベルが着実に向上していることがうかがえます。しかし、ハイスコアになる理由はもう一つ存在します。それは、温暖化の影響によって、コースセッティングを難しくすることができない状況が背景にあるということです。気候の変動により、コースの芝生やグリーンの状態の管理が難しくなっているため、選手たちにとって有利な条件が整っているのです。

このような環境の中で、プロテストをクリアした若い選手たちがいたとしても、実際のツアーで活躍できるかどうかは別問題です。ツアーでは、より厳しい条件下でのプレーが求められるため、真の実力が試されます。プロとしてのキャリアを築くには、ハイスコアのプロテストをクリアするだけでは不十分であり、過酷なツアー環境に適応する能力が必要とされます。

しかしながら、ハイスコアで合格を果たしたものすごい実力者たちがプロテストに合格した瞬間は喜ばしいものです。しかし、実際のツアーセッティングは非常に厳しく、プロテストで合格した20名の中から、トップツアーで安定して戦える選手は3〜5人程度に限られます。さらに、数年でゴルフを辞めてしまう選手も少なくありません。

プロテスト合格がツアー参戦条件

今では、プロテストに合格しなければQT(ツアー予選会)にすら出場できないという状況が生まれています(2019年からの規定)。この点について、私は一つの疑問を投げかけたいと思います。それは、プロテストとは本当に何の意味を成すのか、ということです。

2019年以前は、プロテストに合格しなくてもQTにエントリーすることができ、単年度登録でツアーに出場することが可能でした。また、ツアーで優勝することで資格を得たり、ツアーに出場しながらプロテストを受験することもできました。このような状況では、プロテストに縁がなくてもプロゴルファーとして活躍できた選手が多く存在しており、旬の選手たちがツアーで競う姿を目にすることができました。

もちろん、当時もツアーで戦いながらプロテストに合格していない選手たちは、非会員であることに対して劣等感のようなものを感じながら試合に出場していたという声もあります。その一方で、男子プロゴルフ界では、プロテストの受験・合格の有無にかかわらず、ツアープレーヤーの基準はQTツアー予選会にあります。また、ツアーシード選手になると資格が付与されるなど、実力と結果に対する評価が公平に行われていると感じます。この点において、プロテストの意義やその役割について再考する必要があるのではないでしょうか。プロテストが選手の実力を測る有効な指標として存続するためには、ツアーでの実際の活躍を見据えた基準や評価方法の見直しが求められるのかもしれません。

日本は閉鎖的…

さらに、一部では外国人選手のQT参戦を制限しているのではないかとの話も耳にします。真実は分かりませんが、実際にそう受け取られても仕方がない制度であるように思います。ある選手はこれを「鎖国」と表現していました。プロテストの合格が条件でQTにエントリーできるとなると、それだけ多く来日し、参戦する選手がどれほどいるのでしょうか。私が聞いた海外の選手の声として「日本は閉鎖的だからね。誰が行くの?」というリアルな意見もあります。

対照的に、韓国ツアーでは国際枠という外国人向けの予選会が設けられており、積極的に受け入れる体制が整っています。韓国内でも、一部ツアーについては未確認ですが、二部ツアーでは6試合に1回のペースでQTが行われ、上位15名以外は入れ替えが行われるという厳しい環境が組まれています。日本では毎年1回行われるプロテストで合格する20名が新たに予選会に加わるのみ。国内外問わず「鎖国」と言っても過言ではない状況がここ数年続いています。

プロテストは単なる通過点であり、その後の厳しいツアー環境で結果を出すことこそが、プロゴルファーとしての本当の道を切り開く鍵となるのです。プロゴルフ界が真に国際的な舞台で競争力を維持するためには、プロテストやQTの制度も、より開かれた形へと進化していく必要があるのかもしれません。

まとめ

LPGAプロテストは、プロゴルファーへの第一歩として非常に重要な役割を果たしていますが、現在の制度やその運用においては改善の余地があるように感じます。特に、ツアー予選会へのエントリー条件がプロテストの合格に限定されている点や、外国人選手に対する制限の可能性など、プロゴルフ界の未来を考える上で再検討が必要な課題が浮き彫りになっています。プロゴルフがより国際的で公平な競技環境を提供できるよう、プロテストやQTの制度が進化していくことが望まれます。選手たちが真の実力を発揮できる舞台が整備されることで、さらに多くの才能が花開き、プロゴルフ界全体の発展につながることを期待しています。