女子ゴルファーに広がるトレーニングの偏り:バランスの取れた体づくりの重要性 vol.396

◯◯ファンクショナルだけでは十分と言えない

女子ゴルフ選手のトレーニング相談を受ける際、「ウエイトトレーニングは要らない、ゴルフに特化した動きをやりたい」という声を多く耳にします。特にSNSでゴルフに特化した動きだけに集中しているトレーニングシーンが頻繁に見られる現代では、その影響も強いと感じます。確かに、ゴルフファンクショナルトレーニングはゴルフに必要な動作を再現し、筋力や柔軟性を向上させるための効果的な方法です。しかし、そのようなアプローチだけに依存することは、選手にとってリスクを伴う可能性があるのです。しかしながら、その考え通りに指導してくれる人を探している選手には、私は不向きトレーナーとなるでしょう「であるなら…インスタ見ながら自分でやってみたら」となります(笑)

同じ動作を繰り返すだけでは怪我のリスク大

ゴルフスイングは複雑な動作であり、特定の部位や筋肉に大きな負担がかかります。ゴルフに特化した動きを繰り返すことで、同じ筋肉や関節に過度な負荷がかかり、他の部分の発達が遅れることがあります。特に女子選手は、筋力トレーニングへの抵抗感が強いことが多いため、ウエイトトレーニングを敬遠する傾向が見られます。しかし、スイングに必要なバランスやパワーを引き出すためには、全身を鍛えることが重要です。

ウエイトトレーニングは単に筋肉を増やすためのものではなく、身体全体の強化や安定性を向上させ、怪我の予防にも繋がります。ゴルフスイング中に重要な役割を果たす体幹や下半身の安定性は、スイングの安定化や飛距離の向上に直接影響します。

幼少期の肥満経験や恋愛が影響⁇

過去には、ゴルファーのトレーニングがボディビルダーの元で行われていた経緯があるため、”トレーニング=体が大きくなる”という時代はあったはずだ。私がゴルファーに携わり始めた時代も、そういう声は確実にありアマチュアまでに浸透していた。ただ、今はその理由が違った形で抵抗を生んでいることもある。

幼少期に肥満を経験した選手が、ウエイトトレーニングに対して抵抗感を抱くことがある。会話の中で、ウエイトトレーニング不要論の裏側に隠された気持ちを聞けることがある。その理由として、過去の体験から「体が大きくなること」への不安や恐れがあると考えられます。このような選手は、体が大きくなってしまうことで、再び肥満や動きにくさを感じるのではないかという心理的なブロックがあるようです。また、時に恋愛が影響している選手もいる。「それじゃぁ勝てない」という声が聞こえてきそうです、「確かにそうかもしれない」。しかし、恥ずかしそうに、自分より背の低い彼がいる選手がいたとして、彼より大きくなりすぎないようにという気持ちを聞いてしまうこともあります。

「大きくしないと勝てないのか」
答えからすると、NOだろう。

実際には、ウエイトトレーニングは必ずしも筋肉量の増加や体の大きさに直結するものではなく、むしろ筋肉の質やパフォーマンス向上、そして脂肪の減少を目指すことが可能です。しかし、幼少期の肥満経験や現在の恋愛が強く影響してしまう選手にとっては、「ウエイトトレーニング=体が大きくなる」という誤解が根深く、それがウエイトトレーニングを敬遠する要因となっていることもあります。

この場合、トレーナーやコーチとしては、ウエイトトレーニングが選手にどのような効果をもたらすのかを正確に説明し、不安を解消することが重要です。たとえば、筋肉を増やす目的だけでなく、筋力の向上や体幹の安定化、怪我の予防を目指すトレーニング方法があることを伝えると、選手が安心してトレーニングに取り組めるかもしれません。

結論

SNSで見られるゴルフに特化したトレーニングシーンに影響されることなく、バランスの取れた体づくりを意識したトレーニングが必要です。ウエイトトレーニングや全身を使ったエクササイズを取り入れることで、スイングにおける安定性が増し、最終的にはゴルフパフォーマンス全体の向上に繋がります。長期的に怪我を防ぎ、競技を続けていくためには、ゴルフ特化型のトレーニングだけでなく、全身をバランスよく鍛えることの重要性を再認識することが求められます。