大学ゴルフ部男子の皆さんへ:腰痛とその解決へのアプローチ vol.422

先日、大学ゴルフ部の男子選手が私の元を訪れました。彼は整形外科を受診し、骨に異常はないとの診断を受け、ストレッチをしっかり行うように指導されました。しかし、1年が経過しても腰痛は改善せず、悩み続けていたそうです。

選手の応援者から相談を受け、彼の1年間のストーリーをお伺いしました。彼は指導されたストレッチを日々欠かさず行っていたにも関わらず、痛みは一向に解決しませんでした。受診予約をいただいたと同時に、彼のスイング動画も事前に送付いただきました。スイングに介入するかどうかは、まず彼の身体を直接見てからと考えていましたが、この1年の経過を伺うと、おそらくスイングや身体の使い方に問題があるのではないかと推測しました。

ストレッチ自体が間違っていたわけではなく、痛みの原因が解決されていなかったのです。ストレッチがプラスの効果をもたらす行為であるとすれば、痛みの原因はマイナスの要因。このマイナスを限りなくゼロに近づけることで、初めてストレッチのプラス効果が発揮されます。


◆ ジョイントバイジョイントアプローチとは

ここで、「ジョイントバイジョイントアプローチ」という考え方をご紹介します。これは、身体の各関節が「安定性」または「可動性」のどちらかを主要な機能として持ち、その機能が適切に働くことで全体の動作がスムーズになるという理論です。

具体的には以下のようになります:

  • 足関節(足首):可動性が必要
  • 膝関節:安定性が必要
  • 股関節:可動性が必要
  • 腰椎(腰):安定性が必要
  • 胸椎(背中の中部):可動性が必要
  • 肩甲骨:安定性が必要
  • 肩関節:可動性が必要

このように、可動性と安定性が交互に求められます。


◆ 腰痛とジョイントバイジョイントアプローチの関係

腰椎(腰)は安定性が求められる部位です。しかし、股関節や胸椎の可動性が低下すると、その不足を補うために腰椎が過剰に動いてしまい、結果として腰痛が発生します。つまり、本来可動性が必要な関節が硬くなっていることで、安定性が必要な腰に負担がかかっているのです。

今回の選手の場合も、股関節や胸椎の可動性が不足している可能性があります。スイング時に必要な回旋運動が股関節や胸椎で十分に行えないため、腰椎が代償動作を起こし、過度なストレスがかかっていると考えられます。


◆ 改善へのステップ

原因の特定と解決

股関節や胸椎の可動性を評価し、不足している場合はその改善に取り組みます。専門家の指導のもと、適切なエクササイズやストレッチを行いましょう。

正しいスイングの習得

股関節や胸椎の可動性が向上すれば、腰に負担の少ないスイングが可能になります。コーチやトレーナーと連携し、スイングフォームを見直しましょう。

体幹の安定性強化

腰椎の安定性を高めるために、体幹トレーニングを行います。プランクやブリッジなどのエクササイズが効果的です。

全身のバランス調整

身体全体の筋力と柔軟性のバランスを整えることで、再発防止につながります。


◆ まとめ

腰痛の原因は、痛みの出ている部位だけにあるとは限りません。ジョイントバイジョイントアプローチの視点から、身体全体の機能性を見直すことが重要です。痛みの原因となるマイナス要因を取り除くことで、ストレッチやトレーニングといったプラスの行為が効果を発揮します。

自分の身体の状態を正しく理解し、適切なケアとトレーニングで腰痛を予防・改善しましょう。健康な身体があってこそ、最高のプレーが実現できます。これからもゴルフを存分に楽しみ、充実した大学生活を送りましょう。