レジスタンストレーニングがゴルフに与える影響vol.118

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私がゴルファーのコンディショニングに携わり始めたのは2003年、日本のゴルフ界ではレジスタンストレーニングが「ゴルフに不適合だ」という風潮でした。そうした背景にはトレーニング指導者の内容に問題があったのかもしれませんが、今だに否定的な意見は多いと感じています。しかしながらそれに反して周囲では、レジスタンストレーニングに取り組む選手は多くみられます。論文情報を用いてまとめてみました。

レジスタンストレーニングがゴルフパフォーマンスに与える影響

ゴルフは技術的なスキルはもちろんのこと、体力と筋力も求められるスポーツです。近年、多くのゴルファーがレジスタンストレーニング(抵抗トレーニング)を取り入れ、その効果が科学的研究によっても支持されています。本コラムでは、レジスタンストレーニングがゴルフのパフォーマンスにどのように影響を与えるかを探ります。

レジスタンストレーニングの効果

筋力の向上とパフォーマンス レジスタンストレーニングは主に筋力を向上させることで知られています。筋力が向上すると、ドライブの飛距離が伸びるだけでなく、より安定したスイングが可能になります。Sell et al.(2007)による研究では、レジスタンストレーニングを行ったゴルファーは飛距離が平均で5.2%向上したことが報告されています。このデータは、筋力向上が直接的にパフォーマンスに寄与することを示しています。

怪我の予防 ゴルフは一見すると低リスクなスポーツですが、実際には繰り返しのスイング動作が原因で様々な怪我を引き起こすことがあります。Lephart et al.(1998)の研究では、レジスタンストレーニングが肩や腰の安定性を高めることで、これらの怪我のリスクを減少させることが示されています。特に腰痛はゴルファーに多い怪我の一つであり、これを予防することは長期的なキャリアを維持する上で重要です。

実践的なアプローチ

トレーニングプログラム
レジスタンストレーニングをゴルフに取り入れる際は、全身をバランス良く鍛えることが重要です。特にコア(体幹)の強化はゴルフのパフォーマンス向上に直結します。例えば、プランクやロシアンツイストなどが効果的です。

頻度と強度
初めてレジスタンストレーニングを始める場合は、週に2〜3回からスタートし、徐々に負荷を増やすことが推奨されます。重要なのは、トレーニングによって疲労が蓄積しすぎないように管理することです。

総括

レジスタンストレーニングはゴルフの飛距離向上、スイングの安定性、怪我の予防に有効であり、これらの科学的根拠に基づいたトレーニングが、ゴルフパフォーマンスを大きく向上させる可能性を持っています。しかし、トレーニングの導入にあたっては、専門のトレーナーと相談しながら自身の体調やニーズに合わせて進めることが重要です。適切に行えば、レジスタンストレーニングはゴルフスキルを次のレベルへと引き上げる強力なツールとなることがわかりました。