プロゴルファーでもないわたしが、「プロゴルファーの哲学」と題するのは少々乱暴でありますが…。
ただ、これまで数多くの男女・ジュニアゴルファーからシニアプロゴルファーまで、数多くのプレーヤーに携わらせていただいた立場だからこそ、飛距離に対するゴルファーのこだわりについては、多くのお話を伺ってきました。
距離を出したいゴルファーと、今の武器で戦おうとするゴルファー。同じステージを戦う中でも、「300y飛ばないと話にならない」というゴルファーと、さほど飛距離に拘らない声もあります。もちろん国内外の環境により求めてくるもののも変わるでしょう。
それと同時に、トレーニングに訪れる選手の中でも、トレーニングの目的を「飛距離UP!!」と言われるケースと、「飛距離は結果的に伸びたらそれはそれでいい」という考え方もあり、メニューを考えていく中で最終的にどこに着陸するのが、いいもの考えることがありました。
どうやら、プロゴルファーにとって、飛距離は数字以上のもののようです。
それは、コースを支配し競合に圧倒的なアドバンテージを与える力として認識される部分もあり。
飛距離が長いということは、パー5のホールを2打でグリーンに乗せるチャンスが増え、スコアを大きく伸ばす機会が生まれます。また、ショートホールでも、より短いクラブでアプローチが可能となり、ピンに近づけやすくなります。飛距離が長ければ長いほど、選手はより攻撃的なプレースタイルを取りやすく、それが結果としてスコアアップにつながるのです。これらが長いツアーを戦う上で、精神的な負担軽減にもなるということが現実なのかもしれません。
飛距離を伸ばす秘訣
飛距離を伸ばすために、プロゴルファーは体力強化、テクニックの研鑽、そして最新の機材への投資に力を入れています。力強いスイングを生み出すためには、全体的な筋力が必要です。下半身は主にバランスを維持するためだけに使うというプロの意見もありますが、スイングの効率を最大化するためのテクニックの改善も欠かせないでしょう。飛ばし方を知っている人と知らない人。これは頭ではなく体が反応するということでもあるようです。さらに、クラブやボールのテクノロジーも日々進化しており、これらを適切に選び、活用することで飛距離を伸ばすことが可能となっているようにみえます。
飛距離が出ない選手のアドバンテージ
一方で、飛距離に優れないプロゴルファーも多く存在します。そして優勝を重ねる選手もいる。
精密なアプローチや確実なパッティングによってスコアメイクを行い、コースマネジメントや戦略的なプレーのスキルを磨くことで、距離の出る選手に対抗します。正確なショットと優れたショートゲームは、風の影響を受けにくい、ピンポジションに応じた攻め方ができるなど、微細ながらも確実なアドバンテージとなり得ます。また何処からでも入れてしまいそうなパッティング力も飛距離の出ない選手にとっては武器になると言います。
選手は自分のタイプを決めるべきか
ゴルフは「自分自身との戦い」とよく言われます。
自分がどちらのタイプかを理解し、自分のスタイルに合った戦略を取ることが重要ではないのかとこれまで考えていました。
飛距離を伸ばすことに注力するか、それとも正確性と戦略に焦点を当てるかは、選手自身の体質、技術、そして特徴と言えるような武器を認識し、そして比重は心理的な側面に大きく依存しているように思います。
どちらのタイプであっても、それぞれの強みを最大限に生かすことが、成功への鍵となることは間違えありません。ドライビングディスタンス上位者ばかりが優勝しているわけではないですからね。
結局のところ、プロゴルファーにとって最も大切なのは、自分自身のゲーム特性を理解し、それを常に改善し続けることではないか。飛距離が長い選手も短い選手も、それぞれに異なる戦略と技術で勝利を目指し、また叶えていると言えると思います。